ヘッジファンドの投資戦略とは?種類やリターンも合わせて紹介

ヘッジファンドというと「高利回りを目指せ、桁外れの報酬を手にできる」なんてイメージを持つ人も多いのではないでしょうか?

そんなイメージ通り、ヘッジファンドは実際、独自の投資戦略によって高利回りを狙うことのできる投資先です。

今回はそんなヘッジファンドの投資戦略に焦点を当てて、高利回りの秘訣を探っていきましょう。

目次

そもそもヘッジファンドとは?

ヘッジファンドの投資戦略を知る前に、ヘッジファンドとはどんな投資先なのか改めて確認していきましょう。
(※ヘッジファンドについてよく知っているという人は、ヘッジファンドの戦略までジャンプしてください)

ヘッジファンドとは?

ヘッジファンドの主な特徴は以下5つです。

  • 私募型のファンド
  • 投資のプロの資産運用を任せられる
  • 幅広い金融商品を投資対象とするオルタナティブ投資
  • 下落相場を利用して利益を狙う方法など、多種多様な投資戦略を採る
  • 投資に必要な資金が高額

私募型のファンドというのは、限られた少数の投資家から資金を集めるプライベート投資のようなものです。ヘッジファンドは私募型を用いることで、金融庁の規制に縛られることなく、幅広い投資商品に自由な投資戦略を用いて投資することができます。

ヘッジファンドの多種多様の投資戦略では、金融市場の上昇相場で利益を狙うのはもちろんのこと、「空売り」など下落相場を利用した利益獲得手法も兼ね備えています。

空売りとは、投資している市場が下落状態にあり上昇が見込まれるとき、実際には持ってない投資商品を借りて売ることで、大きな利益を狙っていく方法です。

また、ヘッジファンドではしばしば利用されるレバレッジは「てこの原理」と呼ばれ、借り入れを利用して運用資産を割り増してリターン額を高める方法です。レバレッジや空売りは、従来の株式投資や投資信託では用いることができないため、ヘッジファンド投資だからこそ実現できる戦略です。

ヘッジファンドは上記のように私募形式を採るため、必然的に投資家一人ひとりの最低出資額は大きくなり、日本のヘッジファンドでは1000万円からの投資が一般的です。

ヘッジファンドが高利回りを狙える理由

ヘッジファンドは平均の利回りが10%以上狙っていけます。

前述したように、ヘッジファンドは私募型の投資を採用しているため自由な投資戦略が可能。ヘッジファンドのファンドマネジャーは、市場のトレンドを分析することによって多岐にわたる投資戦略を使い分け、いかなる相場環境でも利益を狙います。

ヘッジファンドの投資戦略

ヘッジファンド投資では運用のほぼ全てをファンドマネジャーに任せることができるため、投資家自身は高度な投資戦略の内容を知っておく必要はないだろうと思うかもしれません。

しかし、かの有名な大投資家として知られるウォーレン・バフェットは以下の言葉を残しています。

”自分の知らない投資はしないこと”

ヘッジファンドではプロに投資を任せられるとは言え、自分の資産に責任を持ち守ることができるのは投資家自身です。投資するヘッジファンドを適切に選ぶため、また選び出資したヘッジファンドが順調に運用を続けているのか、リスク管理を十分に出来ているのかなどは、投資家自身が身に着けた知識に基づいて判断をする必要があるでしょう。

ヘッジファンドの投資戦略は以下の3つに分類することができます。

  1. アービトラージ型の投資戦略
  2. ディクショナル型の投資戦略
  3. 運用特化型の投資戦略

1. アービトラージ型の投資戦略

アービトラージ型の投資戦略では、同一の価値を持つ投資商品の一時的な価格のゆがみを利用し、割安な方は買い、割高なほうを売りのポジションで持ち、両者の価格のゆがみ(価格差)が解消された時点で利確を行います。

アービトラージ型は市場全体の動きに対する関心は少なく、投資商品の価格差を利用して利益を得る運用手法のため、利益を得る機会が限られる可能性もありますが、リスクを抑えながら比較的に安定した利益を追求することができます。

アービトラージ型の投資戦略
  • 株式マーケット・ニュートラル
  • 転換社債アービトラージ
  • 債券アービトラージ
  • リスク・アービトラージなど

株式マーケットニュートラル

株式マーケットニュートラル戦略は、同じ業界の株式を一部は買い(ロング)、一部は売る(ショート)ことで市場の全体的な動きの影響を受けないように利益を出すことを目指します。

特定の銘柄の変動に注目して利益の機会を狙うため、市場のトレンドが不明確の時に利益を得やすい投資戦略です。

転換社債アービトラージ戦略

転換社債とは、株式に転換できる権利が付与され社債です。

転換社債アービトラージ戦略では、株式と転換社債の価格差が生じた際、割安な転換社債を買い、同社債の発行体である企業の株式を売ることで、リスクを低減しつつ利益獲得を狙います。

転換社債アービトラージ戦略には、市場の良し悪しに関係なく株価の上昇時も下落時も利益を目指すことができるというメリットがあります。

債券アービトラージ

債券アービトラージ戦略は、一物一価であるべき債券価格にゆがみ (価格差)が生じた際、割安な方を買い(ロング)、同時に割高な方を売る(ショート)ことにより、リスクを抑えながら利益を狙う戦略です。

例:年限の同じ債券の現物と先物の価格差が生じた場合(米国10年債現物を買い、米国10年債先物を売る)

リスクアービトラージ

リスクアービトラージ戦略は、上場企業間の合併と買収(M&A)を見込んで、利益を狙います。

通常M&Aの意向が発表されると、M&A元の企業は、全額現金・全額株式・現金と株式の組み合わせのいずれかで買収を行うのかを提案。またM&A元の企業株価は下落し、M&A先の企業の株価はM&A元の企業が設定した評価額に向かって上昇しするのが一般的です。

例えば全額株式で買収をオファーする場合では、ヘッジファンドは値上がりが予想されるM&A先企業の株を買い、M&A元の株式を空売りし利益を得ます。

2. ディレクショナル型の投資戦略

ディレクショナル型は、市場全体の方向性や価格変動に基づいて利益を得る方法です。

ディレクショナル型は市場の動向に基づいて利益を追求するため、予想が当たれば利益が得られますが、外れると損失が出てしまいます。

ディレクショナル型の投資戦略
  • グローバル・マクロ
  • 株式ロング・ショート
  • マネージド・フューチャーズ

グローバルマクロ

グローバルマクロ戦略は、世界三大投資家ともして知られるジョージ・ソロス使用した戦略で、世界各国の経済状況や政策の変換などを幅広く分析し、それに伴う株価や金利や為替などの動きを予測して利益を狙っていく戦略です。

そんなグローバル・マクロ戦略は、簡単に言うと「なんでもやる」という投資手法で、世界中のあらゆる視点から分析し、幅広い資産クラスに投資を行うことで、常に利益の機会を狙います

その名の通りマクロ的に経済状況を読み解く力が必要なため、金融に詳しいだけでなく、世界の政治や社会情勢、経済状況まで幅広い知識が必要です。

株式ロングショート

株式ロングショート戦略はヘッジファンドの投資戦略の中でも代表的な投資戦略で、安値で株式を買うこと(ロングポジション)と、安値で売ること(ショートポジション)を同時に行うことで利益を得ます。

ロングショートの投資戦略は、主に2通り。

  • 単に上がる株と単に下がる株を個々で予想するパターン
  • 上がる株と下がる株の相対的に予想するパターン


この戦略を行うためには、企業のファンダメンタル分析やバリエーション能力が求められるため、株式の緻密な調査や高度な分析能力が求められるでしょう。

マネージドフューチャーズ

マネージドフューチャーズ戦略では、株式・金利・商品・通貨など世界中のあらゆる先物・オプション市場を投資対象とし、相場の上昇・下降の両局面で利益を狙います。

最近ではテクノロジーの進化に伴い、AIによってデータ分析を行いさらに精密なデータ分析を行うことで、金融市場がマイナス(下落)の状態でも利益を目指しています。最新技術を取り入れたマネージドフューチャーズは、最近もコロナショックで多くのヘッジファンドが損失を出した中、プラスの成績を残したヘッジファンドが使用していた投資戦略でもあります。

3. 運用特化型の投資戦略

運用特化型として主要な投資戦略としては、イベント・ドリブンやマルチストラテジーが挙げられます。

運用特化型の投資戦略
  • イベント・ドリブン
  • マルチストラテジー

イベントドリブン

イベントドリブン戦略は、企業の特定のイベント(合併、買収、再編など)をきっかけに価格変動が起こると予測し、その価格変動を利用して利益を出すことを目指します。

イベントドリブンでは、主にM&A(合併)やIPO(新規株式上場)の動きに注目して利益を狙うことが多いため、緻密な分析力や株式市場に詳しい必要があると言えるでしょう。

マルチストラテジー

マルチストラテジー戦略は、複数の投資戦略を併用することによりリスクを分散させた運用を目指します。

株式や債券、為替、先物、オプションなどの多種多様な投資先に対し、ロングやショートなどの異なるポジションをとることでリスクを抑えながら利益を狙います。

ヘッジファンドにおける各投資戦略の割合

日本語でのヘッジファンドの情報を提供している日興リサーチセンターが調査した結果を元に、投資戦略の使用率について調べてみました。

投資戦略比率
マクロ戦略27.4%
ロング・ショート27.3%
リラティブバリュー24.3%
イベント・ドリブン7%

表の結果を見てわかる通り、マクロとロングショートがヘッジファンドの投資戦略のうち半分以上を占めていることがわかります。

マクロとロング・ショートが50%を占める

ヘッジファンドの投資戦略で全体の50%以上を占めるマクロ戦略とロングショートを詳しく見ていきましょう。

マクロ戦略は、景気の拡大や縮小、金融政策など様々な視点から市場全体の動向を観察し、トレンドや方向性を予測する戦略だとご紹介しました。

一方ロング・ショートは市場の動向に関係なく、売却と購入を同時に行い、相対的なポジションを取ることでリスクを考慮しながら利益を追求する戦略です。

マクロ戦略とロング・ショートはヘッジファンドの投資戦略の主要戦略になっており、リスク管理を目指す投資家に人気の戦略と言えるでしょう。

では上記2つの戦略のデメリットも併せて確認していきましょう。

マクロ戦略のデメリット

マクロは主に、市場の方向性やトレンドを予測することに依存しています。マクロは世界の経済や政治の面から予測をしますが、経済や政治の予測は多くの不確定要素から影響を受けるため、正確な予想を行うことは難しいです。

そのためマクロ経済の予測は非常に難しく、予測ミスがリスクを引き起こす可能性は十分にあります

ロング・ショートデメリット

ロングショートは投資商品の個々の特徴を比較して利益を得ることができます。しかし市場の変動や投資商品同士の関係性を相殺してしまうため、市場が上昇傾向にあるときに思うような利益を得られない可能性があります。

またこの戦略は高度な企業リサーチ能力や判断力が必要で、割安の商品がさらに割安になってしまったり、割高の商品がさらに割高になってしまったりすると、利益の機会を逃してしまうかもしれません。

投資戦略のリスクとリターンの関係

続いて、ヘッジファンドの投資戦略のリスクとリターンの関係性についてみていきます。

引用:HF_MultiStrat

上記の図は、2018年にBloomberg,Fidante Partnerdのデータをもとに作られたものです。ヘッジファンドの投資戦略の中で最も年間のリターンが高く、変動率低めな優秀な戦略は、マルチストラテジーです。

ヘッジファンドの投資戦略として、最も使用されている「ロング・ショート」と「マクロ戦略」は年間のリターン約2%〜3%目指すことがでますが、他の投資戦略と比べると変動性の高めの戦略になっています。

ヘッジファンドの投資戦略まとめ

今回はヘッジファンドの投資戦略について解説してきました。

ヘッジファンドの投資戦略は複雑で難解ですが、ヘッジファンドマネージャーに運用のほとんどを任せることができるため、全てを詳細に理解する必要はありません。

しかしヘッジファンドの仕組みや投資戦略をある程度は理解していないと、大事な資産を任せられるヘッジファンドを選定することができませんし、知識不足から損失に繋がる投資判断をしてしまうかもしれません。

ヘッジファンドへの投資にはリスクも伴いますので、出資前にはある程度知識はつけておいたほうが無難です。

以下の記事では日本で知名度の高い私募系ヘッジファンドの特徴などをまとめていますので、興味のある方は併せてお読みください。

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