個人向け国債は安全性が高い一方で、デメリットも存在します。
「利回りが低すぎる」「中途換金に制限がある」など、個人向け国債のデメリットを理由に購入を躊躇していませんか?
確かに個人向け国債には、株式投資と比べて期待リターンが低いというデメリットがあります。
しかし、デメリットばかりではなく、元本保証という大きなメリットもあるのです。
この記事では、個人向け国債のデメリットを5つの観点から詳しく解説し、メリットとの比較や他の運用方法との違いについても説明します。
個人向け国債のデメリットを正しく理解して、あなたに合った資産運用を見つけていきましょう。
個人向け国債のデメリット|利回りの低さと中途換金の制限が主な理由
個人向け国債には、購入前に知っておくべきデメリットがいくつかあります。
安全性の高さは魅力的ですが、その分リターンが限定的になってしまうのも事実です。
ここでは、個人向け国債の主なデメリットを5つのポイントに分けて詳しく見ていきましょう。
株式投資と比較して利回りが低くリターンが期待できない
個人向け国債の最大のデメリットは、期待できるリターンが株式投資と比べて格段に低いことです。
2024年12月現在、個人向け国債の金利は固定3年で0.60%、固定5年で0.71%、変動10年で0.71%となっています。
一方で、株式投資では年率5%から10%のリターンを狙うことも可能です。
例えば、100万円を運用した場合、個人向け国債では年間約6,000円~7,000円の利息しか得られません。
投資経験のある方にとっては、この利回りの低さは物足りなく感じるでしょう。
資産を積極的に増やしたいと考えている場合、個人向け国債だけでは目標達成が困難になる可能性があります。
購入から1年間は中途換金ができない制限がある
個人向け国債は、購入してから1年間は原則として中途換金ができません。

急にまとまった資金が必要になった場合でも、すぐに現金化できないというデメリットがあります。
例えば、病気や事故などの緊急事態が発生しても、購入から1年未満の個人向け国債は解約できないのです。
株式や投資信託であれば、市場が開いている時間帯ならいつでも売却可能ですが、個人向け国債にはこのような制限があることを理解しておく必要があります。
資金の流動性を重視する方にとっては、大きなデメリットといえるでしょう。
インフレ時に実質的な資産価値が目減りする
個人向け国債のデメリットとして、インフレに対応できない点も挙げられます。
物価上昇率が個人向け国債の金利を上回ると、実質的な購買力が低下してしまいます。
総務省のデータによると、最近の物価上昇率は前年同期比で約2.8%となっています。
個人向け国債の金利が1%程度では、インフレ率に負けてしまうのです。
つまり、表面上は利息を受け取っていても、実際の価値としては目減りしているということ。
長期的な資産形成を考える場合、このインフレリスクは無視できないデメリットです。
中途換金時に調整額の支払いが発生する
個人向け国債を満期前に中途換金する場合、直前2回分の利子相当額×0.79685が差し引かれるというデメリットがあります。
この調整額により、実質的な受取金額が減少してしまいます。
例えば、100万円の個人向け国債を購入し、年利0.71%で運用していた場合、中途換金時には約5,600円程度の調整額が発生する計算になります。
元本割れすることはありませんが、期待していた利息の一部を失うことになるため、計画的な資金管理が必要です。
急な資金需要に備えて購入する場合は、この点を考慮しておきましょう。
金融機関のキャンペーン利用時に他商品の勧誘を受ける
個人向け国債を購入する際、金融機関によってはキャンペーンをきっかけに他の金融商品を勧められるケースがあります。
「購入金額100万円ごとに1,000円キャッシュバック」といった魅力的なキャンペーンに惹かれて窓口を訪れると、投資信託や保険商品などの営業を受ける可能性があるのです。
金融機関としては、個人向け国債の販売手数料だけでは収益が限定的なため、他の商品も提案したいという事情があります。
しつこい勧誘を避けたい方は、ネット証券での購入を検討するのがおすすめです。
オンラインでの手続きなら、営業担当者と直接対面することなく、自分のペースで購入できます。
個人向け国債の仕組みと3つの種類を解説
個人向け国債とは、日本政府が個人投資家向けに発行する債券のことです。
国にお金を貸すことで、定期的に利息を受け取れる仕組みになっています。
個人向け国債には「固定3年」「固定5年」「変動10年」の3種類があり、それぞれ特徴が異なります。
どの種類を選んでも元本は保証されており、最低金利も0.05%が確保されているため、安心して運用できるでしょう。

| 固定3年 | 固定5年 | 変動10年 | |
|---|---|---|---|
| 金利タイプ | 固定金利 | 固定金利 | 変動金利 |
| 適用金利の 計算方法 | 基準金利-0.03% | 基準金利-0.05% | 基準金利×0.66 |
| 最低保証金利 | 年率0.05% | ||
| 利払い | 年2回(半年ごと) | ||
| 購入単位 | 1万円から1万円単位 | ||
| 中途換金 | 発行から1年経過後はいつでも可能 (直前2回分の利子×0.79685を差し引き) | ||
固定3年と固定5年は、満期まで金利が変わらないため、将来の受取利息を事前に計算できます。
一方、変動10年は半年ごとに金利が見直されるため、市場金利が上昇すれば受け取る利息も増加します。
2024年12月現在の募集では、固定3年が0.60%、固定5年が0.71%、変動10年が0.71%の金利となっています。
どの種類も購入から1年間は中途換金ができませんが、1年経過後はいつでも換金可能です。
ただし、中途換金する場合は直前2回分の利子相当額に0.79685を掛けた金額が差し引かれます。
元本割れのリスクがないため、預金感覚で始められる点が個人向け国債の大きな特徴といえるでしょう。
個人向け国債のメリット|元本保証と安全性の高さが魅力
個人向け国債にはデメリットもありますが、実は多くのメリットも存在します。
特に安全性を重視する方にとっては、非常に魅力的な金融商品といえるでしょう。
ここでは、個人向け国債が持つ5つの大きなメリットについて詳しく解説していきます。
元本保証で銀行預金より高い金利を受け取れる
個人向け国債の最大のメリットは、元本が保証されているにもかかわらず、銀行預金を上回る金利が得られる点です。

メガバンクの普通預金金利が0.10%程度なのに対し、個人向け国債は最低でも0.05%が保証され、実際の金利は0.60%から0.71%となっています。
例えば、100万円を3年間運用した場合を比較してみましょう。
普通預金なら約3,000円の利息ですが、固定3年の個人向け国債なら約18,000円の利息を受け取れます。
定期預金と比べても有利なケースが多く、3年ものの定期預金が0.2%程度なのに対し、固定3年の個人向け国債は0.60%です。
元本割れのリスクなく、預金より高い利回りを確保できるのは大きな魅力といえるでしょう。
日本政府が発行元のため信用リスクが極めて低い
個人向け国債は日本政府が発行している債券であり、信用リスクは極めて低いといえます。

企業が発行する社債や金融機関の預金と違い、日本という国家が破綻しない限り、元本と利息の支払いは確実に行われます。
過去の金融危機を振り返っても、銀行や証券会社が経営破綻したケースはありますが、日本政府の財政が完全に破綻したことはありません。
このため、個人向け国債は金融商品の中でもトップクラスの安全性を誇っているのです。
リスクを極力避けたい方や、大切な資産を守りたい方にとって、これ以上ない選択肢といえるでしょう。
変動10年なら金利上昇時に受取利息が増加する
変動10年の個人向け国債は、半年ごとに金利が見直されるため、金利上昇局面では受け取る利息も増えます。
定期預金の場合、預入時の金利が満期まで固定されますが、変動10年なら市場金利の上昇メリットを享受できるのです。
仮に今後、日本の金利が上昇していけば、それに連動して受取利息も増加します。
逆に金利が下がったとしても、最低0.05%は保証されているので安心です。
10年という長期間の運用でも、金利環境の変化に柔軟に対応できる点は、変動10年ならではのメリットといえます。
インフレ対策としても一定の効果が期待できるでしょう。
1万円から購入可能で投資のハードルが低い
個人向け国債は最低1万円から1万円単位で購入できるため、少額からでも始められます。

投資というと大きな資金が必要なイメージがありますが、個人向け国債なら毎月のお小遣い程度から始めることが可能です。
例えば、ボーナスの一部を運用に回したいという場合でも、10万円、20万円といった金額から気軽に購入できます。
また、購入後1年が経過すれば、1万円単位での部分的な中途換金も可能です。
必要な分だけ換金できるため、資金管理もしやすいでしょう。
投資初心者の方が、まず第一歩を踏み出すには最適な金融商品といえます。
購入時も保有中も手数料が一切かからない
個人向け国債では、購入時、保有中、中途換金時のいずれも手数料が発生しません。
投資信託では購入時手数料や信託報酬がかかりますが、個人向け国債なら余計なコストを気にする必要がないのです。
100万円を投資した場合、投資信託なら年間1%程度の信託報酬で1万円のコストがかかることもあります。
しかし個人向け国債なら、受け取る利息がそのまま利益になります。
手数料がかからないということは、少額投資でも効率的に運用できるということです。
コストを抑えて確実に資産を増やしたい方には、理想的な商品といえるでしょう。
個人向け国債のデメリットを感じやすい人の特徴
個人向け国債は安全性が高い金融商品ですが、すべての人に適しているわけではありません。
投資目的や資金計画によっては、デメリットを強く感じてしまうケースもあります。
ここでは、どのような人が個人向け国債のデメリットを感じやすいのか、3つのタイプに分けて解説していきます。
高い利回りで資産を増やしたいと考えている人
積極的に資産を増やしたい方にとって、個人向け国債の利回りは物足りないでしょう。
年利1%未満の個人向け国債では、資産を2倍にするのに70年以上かかる計算になります。
例えば、30代で老後資金を準備したい場合、個人向け国債だけでは目標金額に到達するのが困難かもしれません。
100万円を30年間運用しても、利息は20万円程度にしかならないのです。
株式投資なら年率5%~10%のリターンも狙えるため、資産形成のスピードは格段に違います。
短期間で大きく資産を増やしたい方や、FIREを目指している方には、個人向け国債は適していないといえるでしょう。
急な資金需要で中途換金する可能性がある人
緊急時にすぐ現金が必要になる可能性がある方は、個人向け国債の1年間の換金制限がネックになります。
転職や引っ越し、医療費など、予期せぬ出費は誰にでも起こりえます。
そんなとき、購入から1年未満の個人向け国債は解約できないため、別の資金を用意しなければなりません。
クレジットカードのリボ払いや、カードローンに頼ることになれば、高い金利を支払うことになってしまいます。
また、1年経過後でも中途換金には手続きが必要で、即座に現金化できるわけではありません。
流動性を重視する方は、普通預金や短期の定期預金のほうが適しているでしょう。
日本の財政状況や債務残高に不安を感じている人
日本の財政状況に懸念を抱いている方にとって、個人向け国債への投資は心理的な負担になるかもしれません。
日本の政府債務残高はGDP比で約260%と、先進国の中でも突出して高い水準にあります。
将来的な財政破綻を心配する声もあり、そうした不安を持つ方にとっては、国債への投資は避けたいと感じるでしょう。
実際に財政が悪化すれば、インフレが進行し、実質的な資産価値が目減りするリスクもあります。
このような懸念を持つ方は、外貨建て資産や金などの実物資産への分散投資を検討したほうがよいかもしれません。
ただし、日本政府の破綻リスクは現時点では極めて低いというのが、多くの専門家の見解です。
個人向け国債と他の資産運用方法の比較一覧表
個人向け国債のデメリットやメリットを理解したところで、他の運用方法と比較してみましょう。
定期預金や新NISA、iDeCoなど、さまざまな選択肢がある中で、どれを選ぶべきか迷っている方も多いはずです。
それぞれの特徴を比較表にまとめ、あなたに最適な運用方法を見つけていきましょう。
| 項目 | 個人向け国債 | 定期預金 | 新NISA | iDeCo |
|---|---|---|---|---|
| 最低投資額 | 1万円 | 1円~ | 100円~ | 5,000円~ |
| 利回り目安 | 0.60~0.71% | 0.02~0.4% | 3~7%(株式) | 3~7%(株式) |
| 元本保証 | あり | あり(ペイオフ範囲内) | なし | なし |
| 流動性 | 1年後から換金可 | 満期まで原則不可 | いつでも売却可 | 60歳まで原則不可 |
| 税制優遇 | なし(20.315%) | なし(20.315%) | 非課税 | 所得控除+非課税 |
| 手数料 | なし | なし | 商品により異なる | 口座管理手数料あり |
この比較表を見ると、それぞれの運用方法には一長一短があることが分かります。
個人向け国債は、元本保証がありながら定期預金より高い利回りを得られる点が魅力です。
一方で、新NISAやiDeCoのような税制優遇はありません。
個人向け国債と定期預金はどちらが有利か
個人向け国債と定期預金を比較すると、多くの場合で個人向け国債のほうが有利といえます。
メガバンクの3年定期預金が0.2%程度なのに対し、固定3年の個人向け国債は0.60%と、約3倍の金利差があります。
100万円を3年間運用した場合、定期預金なら約6,000円の利息ですが、個人向け国債なら約18,000円となり、差額は12,000円にもなります。
また、個人向け国債は1年経過後なら中途換金できますが、定期預金は原則として満期まで解約できません。
急な資金需要への対応力でも、個人向け国債のほうが優れています。
ただし、ネット銀行のキャンペーン金利なら、短期間限定で個人向け国債を上回るケースもあるため、比較検討は必要です。
個人向け国債と新NISA・iDeCoの優先順位について解説
資産運用を始める際の優先順位としては、まず新NISAやiDeCoを活用し、余剰資金で個人向け国債を検討するのがおすすめです。
新NISAは運用益が非課税となり、年間360万円まで投資できます。
iDeCoは掛金が所得控除になるうえ、運用益も非課税という大きなメリットがあります。
これらの税制優遇を最大限活用したうえで、さらに安全性を重視した運用をしたい場合に、個人向け国債が選択肢となるでしょう。
例えば、新NISAで株式投資のリスクを取りながら、一部の資金を個人向け国債で安全に運用するという組み合わせも有効です。
ただし、60歳まで引き出せないiDeCoと違い、個人向け国債は1年後から換金可能なので、教育資金など中期的な資金準備には個人向け国債のほうが適しているケースもあります。
よくある質問
個人向け国債のデメリットについて、読者の皆さんからよく寄せられる質問をまとめました。
購入を検討している方の疑問や不安を解消できるよう、簡潔にお答えしていきます。
まとめ
個人向け国債には、利回りの低さや中途換金の制限などのデメリットがある一方で、元本保証という大きなメリットもあります。
年利1%未満という利回りは、積極的に資産を増やしたい方には物足りないでしょう。
また、購入から1年間は換金できない点や、インフレに対応できない点も考慮すべきデメリットです。
しかし、日本政府が発行する安全性の高さや、銀行預金を上回る金利、手数料がかからない点など、魅力的なメリットも多く存在します。
個人向け国債が適しているかどうかは、あなたの投資目的や資金計画によって変わります。
安全性を最優先する方や、教育資金など中期的な資金準備をしたい方には有効な選択肢となるでしょう。
一方で、高いリターンを求める方は、ヘッジファンドやプライベートデットファンドなど、より収益性の高い運用方法を検討することをおすすめします。
個人向け国債のデメリットを理解したうえで、あなたの資産運用の目的に合った最適な選択をしていきましょう。
高いリターンを求めていてヘッジファンドについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご参考ください。




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